音通そば・だったんそば栽培マニュアル

~単収・品質の向上に向けて~ 平成28年3月 北海道ダッタンソバ生産者協議会

はじめに

本そば栽培マニュアルは、全国の音通そば・だったんそば生産者の生産性、品質向上を目的に、農林水産省、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構北海道農業研究センタ一・九州沖縄農業研究センター、一般社団法人日本蕎麦協会、関係機関等から頂いた栽培技術情報にもとづいて作成いたしました。

1普通そば・ダッタンそばの特性

品種名 早晩性 来歴 (育成場所・育成年次) 採用年 供試年 適地 優点 欠点
北海T8号   Rotundatumから選抜 北農研・H18 H18 H10〜18 全道 良質  
満天きらり   北海T8号とf3g162 北農研・H24 H24 H18〜24 全道 良質 多収  
牡丹そば 北海道在来種 北海道農試・S5 S5 S61〜63 空知・上川・十勝 良質 脱粒中
キタワセそば かなり早 牡丹そば(富良野)から選別 北海道農試・H1 H1 S61〜63 全道 早熟 多収 草丈短 脱粒中
キタユキ やや早 牡丹そば(津別)から選別 北海道農試・H1 H3 S62〜H2 全道 多収 耐ベト病 やや晩熟 草丈高
レラノカオリ   端野・耕牛内から選別 北農研 H22   全道 良質 多収 製粉歩留良 脱粒中
品種名 播種期月日 開花期月日 成熟期月日 生育日数 草丈cm 花色
北海T8号 5/19   8/12 85 160
満天きらり 5/19   8/11 86 152
牡丹そば 6/4 7/17 9/4 90 111
キタワセそば 6/4 7/15 8/28 85 103
キタユキ 6/5 7/14 9/10 97 121
レラノカオリ 6/2 7/8 8/15 97 105
品種名 脱粒性 子実粒形 子実粒色 子実千粒重g 容積重g/l 収量 子実重kg 収量 生草重量kg 品質 食味 耐倒伏性
北海T8号 極易 3稜     231  
満天きらり 極易 3稜 黒褐     248  
牡丹そば 3稜 黒褐 24.9 549 137 604
キタワセそば 3稜 26.5 558 193 674
キタユキ 3稜 26.9 608 189  
レラノカオリ 4稜 30.7 594 187  

2栽培にかかる基本技術

そばの栽培技術は、地域の気象条件等により違いがあります。ここでは、「基本的技術について注意点を記載しました。具体的な技術については各地域の農業苦及センター、農研機構、大学等の指導を受けてください。

◆圃場条件◆

◯極端な酸性土壌にあっては生育が阻害されるが、酸性土壌への適応性は比較的高い。土壌診断に基づき、石灰資材を投入するなどして土壌pH6程度にする。

◯湿害に極めて弱い作物であるが、水田に作付する場合は排水溝・明渠・暗渠・排水の整備のほか、圃場に傾斜を施すなどの排水対策を徹底し、表面水が停滞しないようにするとともに地下水位は4Ocm程度以下にする事が望ましい。

◯具体的に排水対策は、明渠、暗渠の施行のほか、圃場全体に傾斜を施す方法もある。

◆品種の生態型◆

◯夏型(春播き型):日長友応が鈍く、短日の条件をあまり必要としない。 例:北海T8号、満天きらり、キタワセそばの夏そば等

◯秋型(夏播き型):日長友応が強く、短日要求が高い。 例:みやざきおおつぷ、鹿屋在来種等

◯中間型:上記2つの中間型で、生態型として「夏型に近い中間型」と「秋型に近い中間型」の2つに分かれる。 同じ種類でも地域が異なれば生育状況も異なってくる。夏そば、秋そばは品種や生態型の分類ではなく、栽培蒔期の区分であることを理解し適した品種を選定する。

◆作型◆

◯北海道では、5月から6月に播種し8月から9月に収穫する夏そばが主流です。

◯秋型の品種を(夏そばとして)春播きすると栄養生長が続き結実しにくく、収量が期待できないことは良く知られています。逆に夏型の品種を(秋そばとして)夏播きすると、栄養生長が確保できずに開花結実し、収量が低下します。春播きおよび夏播きそれぞれに適した品種を用いる。

◆種子更新◆

◯普通そばは、ミツバチ等による花粉の媒介を必要とする他殖性植物ですので自然交雑しやすい。そのため、品種の特性が失われやすいので計画的な種子更新し地域内で同一種を栽培することが望ましい。

◯だったんそばは、自殖性植物で、遺伝的な差が大きいため雑種は得られないが、「満大きらり」の場合は、地種と混在すると特性が失われる。

◆播種◆

◯普通そば・だったんそばは、霜に弱いので、生育日数を考慮する。

◯普通そば・だったんそばは、湿害に弱く、明暗渠、高畦栽培、傾斜地栽培など湿害を回避する必要がある。

◆施肥◆

◯普通そば・だったんそばは吸胆力が強く、痩せ地でも生育は良い。適正な施肥量が必要である。

◯普通そば・だったんそばは、根の張りが浅く茎も弱く倒伏しやすいのリン酸、カリを加え結実率や耐倒伏性の改善効果がある。

◆防除◆

◯雑草対策は、播種直前科起、排水対策の徹底による初期生育を確保し、茎葉被覆を行う。 また、機械播種で条播しているところでは中耕する。

◯病害虫の少ない農産物ですが、生育初期はヨトウムシに注意すること。

◯農薬をやむを得ず使用する場合は、登録農薬を施用し、取扱書、仕様書を厳守し、他の圃場へ飛散しないように注意する。

◆収穫◆

◯普通そば・ダッタンソバは1株の中でも上部と下部では成熟の度合いが異なり、収穫適期の判断が難しいが、子実の黒化率が70%を超えたら収穫適期とする。

◯収穫期は子実の黒化率が90%以上、茎葉水分80%程度に乾燥が進んだ時期ですが、倒伏や脱粒が予想される場合は早めに収穫する。

◆乾燥・調製◆

◯収穫後の子実は、高水分状態で長時間放置すると風味が低下するため、できるだけ早く乾燥・調製を行う。

◯水分調整で、過乾燥を避けるため送風温度は30°C以下にする。

◯乾燥後は、砂礫、未熟粒、金属片、茎等の除去を行った後、粒選別、さらに籾すり機等を使用しガクを除去する。

3農産物規格規定

普通そば

  最低限度 最高限度
  容積重 (g) 水分 (%) 被害粒 (%) 異種穀粒 (%) 異 物 (%)
1等級 640 16.0 5 1 0
2等級 580 16.0 15 2 1

規格外―1等及び2等のそれぞれの品位に適合しないそばであって、異種穀粒及ひ異物が50%以上混入していないもの

普通そば(四倍体)

  最低限度 最高限度
  容積重 (g) 水分 (%) 被害粒 (%) 異種穀粒 (%) 異 物 (%)
1等級 600 16.0 5 1 0
2等級 550 16.0 15 2 1

規格外―1等及び2等のそれぞれの品位に適合しないそば(四倍体)であって、異種 穀粒及び異物が50%以上混入していないもの

ダッタンそば

  最低限度 最高限度
  粒度 (%) 水分 (%) 被害粒 (%) 異種穀粒 (%) 異 物 (%)
1等級 80 16.0 5 1 0
2等級 80 16.0 15 2 1

規格外―1等及び2等のそれぞれの品位に適合しないそばであって、異種穀粒及び 異物が50%以上混入していないもの

1 普通そば(四倍体)及び種子そば(四倍体)の規格は、みやざきおおつぶ及び信州大そばに適用する。

2 普通そば(四倍体を除く。)にあっては、直径4.5ミリメートルの丸目ふるいをもって分け、ふるいの上に残る粒の全量に対する重量比が70%未満の場合、1等及び2等の容積重の最低限度はそれぞれ本表の数値に20グラムを加算したものとする。

3 普通そばには、だったんそばが0%を超えて混入していてはならない。

4 だったんそばには、普通そばが、1等のものにあっては1%、2等のものにあっては2%を超えて混入していてはならない。

定義

粒度―2.5ミリメートルの縦目ふるいをもって分け、ふるいの上に残る粒の全量に対する重量比をいう。

容積重―ブラウェル穀粒計で測定した1リットルの重量をいう。

水 分―常圧加熱乾燥法のうち、105度乾燥法によるものをいう。

被害粒―損傷を受けた粒(病害粒、虫害粒、変質粒、破砕粒等)をいう。ただし、普通そばにあっては、損傷が軽微で製品の品質に影響を及ぼさない程度のものを除く。

異種穀粒―そばを除いた他の穀粒をいう。

異物―穀粒を除いた他のものをいう。